ヨミガエリ

(よみがえり)
初演日:0/0 作者:看板娘
「ヨミガエリ」

アマミヤ アカリ(天宮 朱里)
シライシ エミコ(白石 恵美子)
テヅカ  ヨシキ(手塚 善生)
鬼/クマタニ  (熊谷)


暗転状態

恵美子「ねぇ、私たち友達だったよね」

電車のブレーキ音

アカリ「え?」

グチャリという音



少し大きめの学校のチャイムの音

アカリ「はぁっ!?(寝起きのような動き)居眠りした!やっべ!」

教室にはほかに誰もいない

アカリ「わ、わたし……ついに放課後まで居眠りしてたの……?」

鬼、教卓の中から出てくる

鬼  「ついにって前から兆候あったんですか?」
アカリ「いや、あるにはあったけど大体そういうときはヨシキかエミコが起こしてくれてたからさ……くっそ裏切り者めー!もう一緒に遊んであげないんだからー!」
鬼  「でもそもそも貴方が居眠りするのがいけないのでは?」
アカリ「違うのー!ヨシキが最近身体が冷えるって言ってたからマフラー作ってたら夜更かししちゃってさー。エミコに作り方教わったんだけど、私エミコみたいに器用じゃないから上手くできなくて〜」
鬼  「お二人とは仲がいいんですか?」
アカリ「うん!ヨシキは小学校からの腐れ縁で、口は悪いけど面倒見が良くてさ。エミコはすっごく頭が良くてなんでも器用にできて、バカな私に勉強とかいろんなこと教えてくれるんだー」
鬼  「アマミヤ様はお二人のことがとても大切なんですね」
アカリ「うん!てか、天宮って苗字で呼ばれるの久々だなー、なんかちょっと恥ずかしいかも……って、ん?」
鬼  「ん?」
アカリ「アンタ誰?!」
鬼  「うーんその質問は毎回されますけど、ここまで時間がかかった人は初めてですねー」
アカリ「てか制服じゃない!うちのクラスの子じゃないの?!」
鬼  「制服着てないと分からないんですか?」
アカリ「うん!というか、うちの学校の子じゃないってことは不審者なの?」
鬼  「不審者に不審者かって聞きます?」
アカリ「確かに!でも寝てる私を起こしてくれたからさてはいい人だな?!」
鬼  「基準おかしくないですか?」
アカリ「あっでも私の名前知ってたから前に会ったことあるのかな……うーん……」
鬼  「先に要件言ってもいいですか?」
アカリ「はいどうぞ!」
鬼  「おめでとうございます!(大声)」
アカリ「?!あ、あ、ありがとうございます!(大声)」
鬼  「なんでまだ何がおめでたいか言ってないのにありがとうって言うんですか」
アカリ「え、お母さんがありがとうをちゃんといえる子になりなさいっていつも言ってるから……」
鬼  「はぁ……」
アカリ「それで、何がおめでたいの?」
鬼  「ごほん。アマミヤ アカリ様、貴方は黄泉の国へのご臨終百億人記念として、ヨミガエリシステムの体験者に選ばれました!(拍手)」
アカリ「????選ばれしものになれたってこと?」
鬼  「そんな伝説の勇者みたいなものじゃないですけどね。黄泉の国のシステムですし」
アカリ「黄泉?」
鬼  「要するに死後の世界ですよ」
アカリ「死?!で、でもここ、うちの教室とまったく一緒だよ?!」
鬼  「アマミヤ様はご自分が死んでしまったことすら気づいていないタイプの死者ですので、まずその状況をご理解してもらうために現実世界を限りなく近く再現したこの空間にご案内しております。」
アカリ「私、死んだの……?」
鬼  「はい、先ほど」
アカリ「うそぉ……」
鬼  「(パンッと一度手をたたく)」

赤ホリシルエット

アカリ「ヒッ!」

鬼  「(もう一度手を叩く)」

明転

鬼  「ここがいつもの教室でないこと、わかっていただけましたか?」
アカリ「う、うーん……」
鬼  「まだ実感はわかないですか?」
アカリ「黄泉?だったとして……あなたはどういった立ち位置のお方でいらっしゃりまするんでしょうか……?」
鬼  「どうしたんですか急に変な日本語使いだして」
アカリ「いやだって怖いですもん……」
鬼  「そんなに緊張しなくていいですよ。私はここの平社員のおにいさんですから」
アカリ「……もしかして鬼とかけてます?」
鬼  「正解!」
アカリ「やったー私珍しく賢い!」
鬼  「……ごほん。私、ヨミガエリ体験者のアマミヤ様の担当をさせて頂きます、鬼のお兄さんです。今後ともよろしくお願いします(名刺を渡す)」
アカリ「よ、よろしくお願いします……!」
鬼  「まず、ヨミガエリって言葉の意味は分かります?」
アカリ「死んだ人が生き返る的な……?」
鬼  「あー、まぁ、正解です」
アカリ「……なんでちょっと微妙な言い方なんですか?」
鬼  「一般的には正解なんですが、今回は生き返るというより『死んだことをなかったことにする』んです」
アカリ「????」
鬼  「要は、死んだ事実を消して生きている状態で現世にお戻しするんですよ」
アカリ「つまり、私は、死んでない?」
鬼  「いえ、死んでます」
アカリ「??????」
鬼  「元々貴方が今回のシステムの体験者になったのは、黄泉の国、いわゆる死後の世界にやってきた人間の数が百億になったからなんですけど」
アカリ「えー百億もいるの?!」
鬼  「はい。それで、最近になってますます人間が死んで仕事が増えてきたので、人間を見習って黄泉の国も働き方改革をしようかと」
アカリ「働き方改革……」
鬼  「でも、流石にこちら側も適当によみがえらせて生きている人間に迷惑かけてもらったら困るので、審査をさせていただきます」
アカリ「ちょっ、ちょっと待って!」
鬼  「はい?」
アカリ「その前に私の死んだ原因を教えてほしいの」
鬼  「……なぜ?」
アカリ「だって、その、もしかしたら、死因によっては生き返らない方がいいかもしれないし……」
鬼  「……駅のホームから落下して電車に轢かれて死亡しました」
アカリ「……そっか。じゃあ死んだのは私だけなんだね。ヨシキもエミコも無事なんだね」
鬼  「……はい。貴方が死んだときはきちんとお二人とも生きておりましたよ。電車の運転手も乗客も全員無傷で死んだのは貴方だけです。映像を再生できますが、見ますか?」
アカリ「えぇー、いいよぉグロそうだし。てか私もおっちょこちょいだなー駅のホームに落ちちゃうとか。あっ、もしかしたら周りの人から見たら飛び降り自殺なんかに見えたかもねー!」
鬼  「そうですね」
アカリ「それで、審査ってなんなの?私、履歴書とか書いたことないよ?」
鬼  「貴方が生きて叶えたい願いを教えていただきたいのです」
アカリ「願い?」
鬼  「はい。その願いの内容を基に一次審査を、そして生き返らせて初七日の間にその願いを叶えられたら二次審査通過です」
アカリ「そしたら、ずっと生き返ったままってこと?」
鬼  「はい」
アカリ「なんか思った以上に簡単なんだね」
鬼  「そうですね。ただ、あまりに簡単な願いだと一次審査は通らず、難しいと実現できないという恐れもあります」
アカリ「あーそっか……。じゃあどうしようかな……」
鬼  「……例えば、先ほど仰っていたマフラーを完成させて渡すなどはいかがでしょうか」
アカリ「え、そんなことでいいの?!もっとこう、人助けとか世界的な活躍とかしなくてもいいの?」
鬼  「ただの女子高生にそんな大それたこと要求しませんよ」
アカリ「だってさっき簡単すぎると一次審査通らないっていうから……」
鬼  「それは、例えばゴミを出すとか食事をするとか本当にしょうもないことを願いにして絶対に生き返られるようにする輩がいるからなんですよ。我々は確実に生き返らせることではなく生き返らせる価値のある人間を特例として生き返らせることを目的としているのですから」
アカリ「な、なるほど……」
鬼  「納得いただけないようでしたら、ついでに渡すときに告白するというのはいかがでしょうか?」
アカリ「こっ……?!なんで、なんで私がヨシキにその、こ、こく……!」
鬼  「黄泉の国にいらっしゃった方の関係者のデータまで当然目を通しておりますので。『テヅカ ヨシキ』。アマミヤ様と同じ高校に通う十七歳の高校二年生で図書委員会とクイズ同好会に所属しており、アマミヤ様とは小学校に入る頃からの幼馴染。中学時代に足を怪我したことにより現在はできないがもとはスポーツ万能で成績はそこそこ。口は悪いが面倒見の良さで交友関係は良好であり、一方でに過去に付き合った女性はおらず……(手に持ったファイルを見ながらつらつらと読み上げる)」
アカリ「もういい!分かったから!」
鬼  「それで、どうされますか?」
アカリ「……いいよ」
鬼  「いいよというのは?」
アカリ「アンタがさっき言った条件でいいって言ってるの!マフラー完成させてヨシキに渡してそんとき告白する!そんで振られたら死ぬ!」
鬼  「別に渡すまでで付き合うまでは叶えなくてもいいんですよ?」
アカリ「付き合うまでが私の願いだからいいの!うるさい!」
鬼  「かしこまりました。それでは、今までの一連の流れから一次審査を通過いたしましたので、さっそくヨミガエリをさせていただきます」
アカリ「えっ、もう?!」
鬼  「何かご不満でも?」
アカリ「い、いや、なんかそんな簡単なお願いでいいなら、もっといろんなこと叶えたいなーって……。例えば、エミコとスイーツバイキングに行ったり、三人で旅行に行ったり、カラオケでオールしてみたり……!」
鬼  「そういうのはちゃんと生き返れてからやればいいんじゃないですか?あんまりたくさんお願いすると七日間では叶えられませんよ?」
アカリ「確かに……!」
鬼  「なんかもう一々質問に答えてたらキリがないのでもう行きましょうか」
アカリ「えっ、もう行くの?!」

不思議なBGM

鬼  「はい、行きますよー。危ないんで目つむって舌出さないように気を付けてくださいねー。死にますよー生き返った途端死にますよー」
アカリ「もごもごもご!!(口と目を閉じてお腹を押さえる)」
鬼  「雷じゃないんでへそは取られませんよー大丈夫ですよー」
アカリ「!(確かにという顔)」
鬼  「生き返っても私がサポートするので安心してくださいねー。3、2、1、」

大きなチャイムの音

朱里 「んんんんんんぅ〜〜〜!!」

暗転
恵美子、善生、舞台に移動
朱里、最初にいた席に突っ伏した状態になる
熊谷、教卓の中に入る

善生 「朱里、起きろ」

明転

朱里 「はぁっ!?(寝起きのような動き)」
善生 「よう。お前まーたずっと寝てたのかよ」
朱里 「よ、よし、」
善生 「どうした?今日はめちゃくちゃ寝起きいいな?」
朱里 「まふ、まふままっまふ、」
善生 「おいなんかバグってるぞ大丈夫か??」
恵美子「(読んでいた本を閉じる)朱里ちゃんどうかしたの?」
朱里 「恵美子だー!!(善生を突き飛ばして恵美子に抱き着く)」
善生 「うぐっ……!」
恵美子「やぁだ朱里ちゃん今日積極的〜!恵美子感激しちゃう〜!」
朱里 「恵美子がいるぅ〜恵美子のにおいがする〜!」
恵美子「やだもぉ匂い嗅がないでよ〜発情期の犬じゃないんだから〜」
朱里 「へっへっへ、ネェチャンいい匂いしてんなぁ〜」
善生 「お前……せっかく起こしてやったのに突き飛ばしてんじゃねぇよ……」
恵美子「あ、善生くん大丈夫?」
善生 「いかにも忘れてたみたいな感じで心配するなよ、大丈夫じゃねぇよ」
恵美子「善生くん大丈夫じゃないんだってー。ほら朱里ちゃん、ちゃんと謝んないと」
朱里 「……やだ」
善生 「てかお前いつまで恵美子にくっついてんだよ。いい加減離れてやれよ」
朱里 「やだ。アンタの顔見たくないから」
善生 「はぁ?!なんだよそれ、おいこっち見ろよブス!(朱里を引きはがそうとする)」
朱里 「いーやーだー!ブスとかいう人の顔なんか見ませーん!面会謝絶ですぅー!」
善生 「バカのくせに難しい言葉使ってんじゃねぇよバカ!なんで顔見たくないんだよ!」
朱里 「今二回もバカって言ったな?!傷ついた!」
恵美子「善生くんサイテー」
善生 「お前はどっちの味方なんだよ!」
恵美子「私は私の好きな人の味方だよ。ねー朱里ちゃーん?」
朱里 「(頭を大きく上下に振る)」
善生 「なんなんだよ……。ま、まぁ?でもそんだけ顔見せたくないってことは、どうせヨ

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