立てこもりユーチューバーのささやかな要求

(たてこもりゆーちゅーばーのささやかなようきゅう)
初演日:0/0 作者:夢多噺(むだばなし)脚本部
立てこもりユーチューバーのささやかな要求

けいちゃん・・・女子高生 
ほしの・・・・・女子高生 
立てこもり・・・男子高校生 制服の上に「立てこもり犯」というタスキをつけている

暗がりの教室 窓の外には野次馬の群れ。パトカーはまだ来ていないようだ。
立てこもり犯はけいちゃんの腕をつかみ、ほしのに銃(モデルガン)をつきつけている

立てこもり:良いから、黙って俺の言うとおりにしろ!こいつがどうなっても良いのかよ!
けいちゃん:きゃー!! 離してください!
立てこもり:うるせぇ!
ほしの:やめて!!誰か、誰か助けてください!
立てこもり:嘘じゃねぇからな!!本気だからな!
ナレーション:ニュースです。千葉県○○市の高校の校舎内で立てこもり事件が発生しました。
始業式を明日に控える今日、犯人は凶器を所持しており現場では大変な緊迫した状況となっております。
犯人は犯行の模様をユーチューブ上で配信しているようで、警察は配信アカウントを調査することで事態の究明を急いでおります。

暗転→明転

教室 女子ふたりは椅子に座ってくつろいでる。 上手には立てこもり犯が銃を持ちながら「俺は立てこもり犯だ」という本を読んでいる

けいちゃん:ほしの〜
ほしの:・・・・なに?けいちゃん?
けいちゃん:勉強進んでる?
ほしの:一応・・・。そろそろやらないと受験間に合わないからね
けいちゃん:そっかー・・・
ほしの:けいちゃんは?
けいちゃん:私? 私は全然進んでないや。
ほしの:やばいじゃん。
けいちゃん:ははっ(笑)
ほしの:いや、笑い事じゃないでしょ。
けいちゃん:そうねー。
ほしの:・・・そういえばさ、けいちゃんは高校卒業したらどうすんの?
けいちゃん:え?私?・・・そういうほしのはどうすんのさ?
ほしの:うーん・・・親は大学に行って公務員か一流企業に就けって言ってくるね。
けいちゃん:めちゃくちゃ期待されてるじゃん。
ほしの:うちの親は二人とも大学卒業して、そういう道を辿ってるからソレが普通っぽい。期待と言うより最低限それくらいは〜、みたいな。
けいちゃん:うへぇ、厳しー。
ほしの:けいちゃんは?
けいちゃん:決まってなーい。
ほしの:うぉい。
けいちゃん:全然決まってなーい。
ほしの:うぉい!
けいちゃん:だって特に無くない?好きに生きなさいって先生は言うけどさ、たとえばあたしが漫画読んでゲームして暮らしたいとか言ったら怒るわけじゃん。
ほしの:まぁ、そりゃそうでしょ。
けいちゃん:でも、今んところあたしがやりたいことなんてそれくらいしかないしさ。将来ユーチューバーになりたいって言ってるコのほうがまだ具体的っていうか〜
ほしの:いや、ユーチューバーって・・・アンナン誰でもなれるでしょ。
けいちゃん:うへぇ、厳しー・・・でもね、ほしの。
ほしの:え?なに?
けいちゃん:あの人達は皆幸せそうだよ?
ほしの:そりゃそうでしょ、好きなことして生きているんだからさ。
けいちゃん:ほしのは好きに生きて良いって言われたら何をする?
ほしの:え?わたし?
けいちゃん:うん。
ほしの:うーんそうだね〜・・・わたしもあんまないかなぁ
けいちゃん:でしょ〜!
ほしの:なんで嬉しそうなんだよ。
けいちゃん:わたしもだからよ、あーあ何か面白いことでも起きないかなぁ!?
立てこもり:静かにしろぉ!
けいちゃん:ユーチューバーにでもなろうかなぁ?
立てこもり:静かにしてくれぇ!
けいちゃん:あ、もしかして君も?
立てこもり:君も?じゃねーよ!おい!お前らこの状況が分かってんのかよ!?
けいちゃん:将来の進路で悩む高校生たちの集い?
立てこもり:ちげぇよ!
けいちゃん:ユーチューバーになりたい人間の集い?
立てこもり:ちげぇよ!!この俺がお前らを人質にとって立てこもってるんだよ!見ろよ、この銃!本物だぜ!
ほしの:わかった、わかった、うるせぇな。
立てこもり:う、うるせえ?お前、死にてぇのか!?
ほしの:そんなことより警察には電話はつながったの?
立てこもり:あ、そうだ忘れてた。
ほしの:しっかりしなよ。警察に電話して身代金の要求?とかするんでしょ?(すっとぼけ) 電話番号とかちゃんと覚えてる?
立てこもり:あ、そういえば・・・
ほしの:え、忘れちゃったの?(哀れみ)・・・たしか、職員室にタウンページがあるから持ってこようか?
立てこもり:お、おまえはそう言って逃げようとする気だろ!?
ほしの:そんなことないよー(優しさ)
立てこもり:いーや、絶対逃げる気だ!ちょっとそこでおとなしく待ってろよ!俺は計画の見直しをするからな・・・騒ぐとこの銃で撃つからな!本気だぞ!
けいちゃん:・・・www(笑)ほしのは本当に悪いやつだねぇ。
ほしの:え?(笑) そんなことないでしょ(笑)
けいちゃん:だって警察の電話番号って・・・110番じゃん(笑)
ほしの:いや、普通に教えてあげたらプライド傷つけちゃうかなぁって思ってさ(笑)
けいちゃん:マジかよ、めちゃいい女じゃん
ほしの:知ってた(笑)
けいちゃん:しかし、まさか今日がこんな日になるなんて思ってもみなかったね。
ほしの:そうね。進路相談会の日を一日間違えただけでこうなるとは。
けいちゃん:先生も誰もいないから二人で教室でだべってたら立てこもり犯に遭遇する経験なんてなかなか無いよ。
ほしの:しかも立てこもり犯が学生でコミュ障のもやし男っていうね。
けいちゃん:銃は本物みたいだけど・・・・
ほしの:でも、あんなおどおどしてるんだから、なんてことないでしょ
けいちゃん:確かに。入ってきたときは正直なにしに来たのかわからなかったもんね。
ほしの:受験を控えてピリピリしてる私たちの暇つぶしとして少し彼の茶番に付き合ってあげようじゃないの。
けいちゃん:本当にほしのは悪いやつだねぇ
立てこもり:うるさいぞお前達!少しは静かにできないのか!
けいちゃん・ほしの:すいませーん!
立てこもり:全く、こっちは立てこもり犯だってのに・・・怖くないのかよ。くそっ。
けいちゃん:あの〜!
立てこもり:今度はなんだ!?

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