透のカタチ(フルバージョン)

(とおるのかたち)
初演日:0/0 作者:霜沢恵
透のカタチ(フルバージョン)


緒方 透  (オガタトオル)  ♂(24)ホリエ建設・今は明るいが実は昔は虐められっ子。
小野寺 舞 (オノデラマイ)  ♀(24)ホリエ建設・透の恋人。恋愛経験が無い。
                    実は透とは幼馴染。
斉木 圭介 (サイキケイスケ) ♂(25)ホリエ建設・透のよき理解者風。実は舞を狙っている。
山根 鈴  (ヤマネリン)   ♀(22)ホリエ建設・圭介のストーカー。舞の恋愛指南役でもある。
牧原 千草 (マキハラチグサ) ♀(26)ホリエ建設・二重人格。圭介の元カノ。

城 絵梨香 (ジョウエリカ)  ♀(29)医師・実は凄い科学者だったりもする。倫理観欠如。
                    怪しい薬の発明と実験命。
緒方 純菜 (オガタジュンナ) ♀(27)宝石店勤務・透の姉。気絶癖がある。

部長    (ブチョウ)    ♂(??)ホリエ建設・お調子者のスケベなおっさん。

堀江 さくら(ホリエサクラ)  ♀(??)ホリエ建設・社長の娘・部長に惚れてる





プロローグ

薄暗い中に思い悩んだ面持ちで独りたたずんでいる透。中学時代かな?

透   僕は透だよ。僕はここにいるよ。

 圭介と男が来て透にぶつかる。

圭介  痛っ。こんなとこに突っ立ってんじゃねーよ。
透   あ…
男   ハハハ、お前そいつ見えんの?
圭介  は?何言ってんだよ。
男   そいつだよ、そいつ。噂の透明人間くん。
圭介  え?ああ。(透を見て)そうかそうか。こいつが透明人間か。
透   あの…僕は…
圭介  透明人間じゃしょーがねーよなー?見えねーもんなー。
男   ああ、見えねー見えねー。
圭介  透明人間ちゃんどこですか〜?
2人  ハハハハハッ。

   圭介と男は笑いながら去る。透は2人が去るのを淋しげに見送る。
   そこに舞がやってくる。ちなみにクラスは別々なので透は舞のことを知らない。
   舞は透の事を知っている。実は幼馴染。透が忘れてるだけ。幼稚園以来遊んでないしね。
   舞は何か伝えたい事があるのだろう。透の背後から声をかける。

舞   …あ、あのぅ?
透   え?…はい。
舞   あの…緒方、透くん、ですよね?
透   あ、その…はい。
舞   あ、あのね…透く…

  舞の言葉を遮るように女が2人現れる。舞の友人らしい。

女1  ま〜ぃ〜。何やってんの〜?
舞   え?それは…
女2  げっ!透明人間の透じゃん!
女1  うわ、ホントだ!舞、大丈夫?なんかされなかった?
舞   え?うん。
女1  気をつけなよ。嫁入り前の体なんだから〜。
女2  妊娠させられたらたまったもんじゃないよ〜?
女1  子供まで存在感無くって「透明人間」って虐められたりして?
女2  気の毒ぅ〜♪
舞   (透を気にして)そんな…
女1  さ、透明人間なんかほっといて帰ろ。
女2  ケーキ食べ行こ♪ケーーキ☆
舞   う、うん。

   透明人間のハーフだからもしかして半透明?キモーイ♪などと話しながら去る。
女2人に手を引かれ舞も去っていく。去るまで透を気にしている。

透   …僕は透明人間じゃないよ。僕はここにいるよ。
    ……僕は……僕は透明人間じゃない!






































?僕の仕事場、僕の恋人

  ここはホリエ建設?(ホリ建と略してはいけないらしい)
  圭介が電話対応をしている。相手は上司だろうか?一応敬語だが説教気味。
  なかなかフレンドリーな会社なのだろう。
  少し離れたところに舞と鈴がいる。
舞は深刻な張り詰めた雰囲気で目の前のお弁当箱とにらめっこ。
千草は化粧を直すのに一生懸命になって鏡とにらめっこ。
  鈴は恋する乙女オーラを発散しつつ圭介を眺めているが、どこか禍々しい。
  いつもと変わらないこの会社の日常風景である。

圭介  ですからその件は部長がご自分で行くっておっしゃったんですよ?
    …はい。そうです、体育館の改修工事。…はぁ?女子校なのに校長がおっさん?………。
    だから何だってんですか!いったい何を期待して……ああ、女子校生と仲良しに…
    なってどーするんだ、おっさん!…ったく、犯罪犯す前に帰ってきてくださいね。
    …はい。…はい。じゃ、失礼します。はい。

   圭介溜め息混じりに電話を切る。栄養ドリンクを飲み干して、デスクで自分の仕事を始める。

舞   (机を叩いて深刻に)どうしよう…。

   今ので千草と鈴に気付いて欲しかったらしい。が、しかし千草は化粧、鈴は圭介に夢中。

舞   (もっかいやってみる)どうしよう…。

  舞は鈴を窺うが無視。

舞   (今度は千草に向かって)どうしよう!(ダメだ…鈴に近づいて)どう…!
鈴   聞こえてますよぉ。
舞   聞こえてるならちゃんと反応してください〜。
千草  私、今、お化粧直してて忙しいの。
鈴   あたしは圭介様の観察で忙しいんです。
舞   そこをなんとか。ねっ。ねっ。
千草  …鈴、お相手したげなさい。
鈴   何であたしが〜?
千草  先輩命令よ。
鈴   (溜め息)わかりました。
舞   さすが鈴ちゃん♪
鈴   (手を出して)中村屋のカレーパン3つ。
舞   …はい。
鈴   で?どしたんですか?
舞   コレ。(お弁当箱を見せる)
鈴   お弁当?
舞   うん。
鈴   お腹空いたなら食べたらいいんじゃないですか?もうすぐお昼ですし。
千草  舞って意外と食い意地はってるもんねぇ。
舞   そうじゃなくて、透くんに…。
鈴   緒方先輩に?なんで?
舞   昨日、鈴ちゃんが言ったんでしょ?
鈴   あたしがですか?
舞   「恋人同士なんだからお弁当でも作ってきて一緒に食べたらいいんじゃないですか?」って。
鈴   ああ。「鈴ちゃんどうしよう!彼氏できちゃったよ!付き合うってどうしたらいいの!?」
ってやつですか?
舞   そう!それ。
千草  何ソレ?どーゆーこと?舞、アンタ彼氏できたの?
舞   え?はぁ、まぁ。
千草  マジでぇ!?ちょっと、どこの誰なのよ!ほら、お姉さんに教えてごらん?
舞   え、あの…
鈴   千草先輩は黙っててくださいよぉ。
千草  なんでよ。
鈴   めんどくさいから。
千草  何よ?その言い草は。
鈴   ただの本心です★
千草  あのねぇ、私は舞の相談に乗ってあげようとしてるの。心の底から。わかる?
舞   あ、ありがとうございま…
千草  だからさ!一から十まで全部お姉さんに話してごらん。ほらほら♪
鈴   それがめんどくさいんだっつーの。
舞   あの、彼と初めて出会ったのは…
鈴   小野寺先輩も律儀に説明しなくていい!
千草  ちょっと、鈴、邪魔しないでよ!
鈴   千草先輩が邪魔なんですよ。
千草  私が邪魔なわけないでしょう。私は恋愛マスター牧原千草よ!
鈴   (ぼそっ)彼氏もいないくせによく言うよ。
千草  なんか言った?
鈴   (大きな声で)彼氏もいない…
千草  聞こえてるわよっ!ったく、ほら、舞。こんな子放っておいて話を進めるわよ。
舞   あ、はぁ、え?
千草  だからぁ、相手は誰なの?ねぇねぇ、教えなさいよぅ。顔はいいの?身長は?年収は?
    あぁっ、もう、どこまでいったの?
舞   ドコマデ?
千草  もうヤっちゃった?
舞   ヤッチャッタ?
千草  セックスした?
舞   せ、せせせせせせせ……
鈴   小野寺先輩が壊れちゃうでしょ!
千草  え?何☆そんなに激しかったわけ?ヤバイ、なんか、暑くなってきちゃった。
鈴   もうダメだ。仕方ないよね。

   鈴は胡椒を取り出して、ひとり悶える千草に振りかける。

千草  鈴!何を……ハ、ハ、ハクション!

   千草は突然沈黙し、微動だにしなくなる。

舞   ち、千草先輩?
千草  …不幸だわ。
舞   へ?
千草  あぁ、こんなに濃い化粧をしているなんて…何か隠しているのかしら。あ、爪が変な色…。
    足の爪まで…。病気ね、きっと。私、このまま死ぬんだ…不幸だわ。あ、携帯…メールきてる。
    こんな私にいったい誰が?……電池切れた…。
舞   何?コレ。
千草  鈴…。今日は何日?
鈴   13日です。
千草  金曜日?
鈴   はい。
千草  …不幸だわ。…お手洗いに行ってきます。

   千草はお手洗いに向かう。

千草  あ、コンタクトが…

   千草はコンタクトレンズを拾おうと棚の下へ。
   突然、棚が壊れて書類の雨が降る。

千草  …不幸だわ。

   圭介が千草に駆け寄る。

圭介  おいおい、牧原、大丈夫か?
千草  近づかないで!
圭介  げっ!

   圭介に適度な不幸が訪れる。

千草  私は近づく者を、皆不幸にしてしまう。他人は呼ぶ。不幸を呼ぶ女と…。

   千草は走り去る。
   圭介はそっちの人格かぁ、油断した、という感じで落ちているものを片付ける。
   さくらも片付けに参戦しようとするが、アワアワしているうちに片付く。

舞   何?今の…
鈴   あれ?先輩見るの初めてでしたっけ?
舞   うん。
鈴   不幸を呼ぶ女。千草先輩のもう一つの人格です。
舞   あ、二重人格なんだ…。
鈴   くしゃみがきっかけで人格が入れ替わる、ドラゴンボール的な設定なんですよ。面白いでしょ?
    花粉症になったらどーすんだっつーのね。
舞   つーのねって…。
鈴   不幸を呼ぶ女の方が元々の人格だったらしいんですけどね。3年前に特別な体質改善治療を
    受けて、今の人格を作り出したらしいですよ。
舞   そ、そうなんだ。鈴ちゃんすごく詳しいね。
鈴   まあ、圭介様関連のことなら何でも★
舞   斉木先輩が関係してるの?
鈴   え?ああ、いやいや、なんでもないですぅ。それより話の続きは?
舞   続き?
鈴   そうですよ。
舞   不幸を呼ぶ女?
鈴   ぢゃなくて!お弁当の話!
舞   鈴ちゃんお腹空いたの?もうお昼だもんね。
鈴   ちっがーーーう!それ。その手に持ってるやつ!
舞   これ?えへ。これね、透くんに……ど、どうしよう!
鈴   どーしたいんですか?
舞   え?わかんない。
鈴   わかんないことないでしょ。意志がないんですか?
舞   え、だって、鈴ちゃんがお弁当作ってきたらっていうから…。
鈴   純粋というか哀れというか。
舞   鈴ちゃんのおかげで告白が成功したのは嬉しいんだけどね。私、今までお付き合いとか
したことなかったからどうしたらいいのかわかんなくて。
鈴   アンタは中学生か?
舞   だいたいさ。告白した後のことなんか考えてないっつーのね!
鈴   考えとけっつーの。
舞   で、どーしたらいいと思う?
鈴   お弁当渡して一緒に食べたらいいじゃないですか。
舞   だって、居ないし。
鈴   緒方先輩は今日の午前中は外回りで、昼から出社ですよ。
舞   よく知ってるね。
鈴   ホワイトボードに書いてありますけど?
舞   本当だ。
鈴   しっかりしてくださいよ。
舞   あ、でも帰ってきても斉木先輩とご飯食べに行っちゃうんじゃない?
鈴   あー。いつもそうですね。
舞   邪魔しちゃ悪いよねぇ?
鈴   邪魔ねぇ。邪魔……ジャマ?ニヤリキラーン★
舞   鈴ちゃん?
鈴   小野寺先輩!邪魔なんかじゃないですよ!もう2人は恋人同士なんだから一緒にご飯を食べる
権利があるんです!
舞   そうなの?
鈴   そうなんです。だから必ず誘ってください。キッヒッヒ、そうすれば圭介様は自ずとあたしのもとへ…
舞   鈴ちゃん?
鈴   え?アハハハ…。とにかく気合いですよ気合い!アハハハハ…

   鈴は舞の背中をバンバン叩く系励まし。舞も気合いと言われたので気合いを入れる?
   そんな所に出社してくる透。すんごいテンション低く暗い。存在感も無く自分のデスクに着く。
   今朝見た虐められっ子時代の夢が尾を引いているらしい。誰も気付いていない。
   圭介も隣りに座った透に気付かず仕事を続けている。

圭介  (あ、くしゃみが出そう)ハ、ハ、ハ……
透   はぁ〜〜〜ぁ。(深ぁ〜い溜め息)
圭介  うわぁっ!びっくりしたぁ。俺のくしゃみ返せ!
透   え?返せと言われても…。
圭介  お前存在感薄いっ!
透   あ、すみません。
圭介  暗いなぁ。どうした?取り引き先でなんか言われたか?
透   いえ、今朝嫌な夢見ちゃって。
圭介  夢?
透   ええ、昔の夢です。
圭介  昔のって、もしかして透明人間っつって虐められてたって頃のか?
透   まさにそれです。
圭介  ふーん。じゃ、朝からそんなテンションなわけだ。
透   まあ。
圭介  おいおい、ってことはそのテンションで営業行ってきたのかよ。そりゃまずいだろ。
透   あ、いや、それは…
圭介  ま、しょーがねーか。トラウマみたいなものだろ?その頃の記憶ってさ。
透   まぁ。
圭介  ゆっくり治していけよ。今のお前は昔のお前とは違うだろ?時間が経てばすぐに忘れちまうさ。
透   …忘れられますかね?
圭介  忘れられるさ。なんたって透くん、彼女できちゃったわけだし。
透   (!?)な、なな、なんで知ってるんですかぁ!?
圭介  山根から聞いた。
透   鈴ちゃんから?
圭介  水臭ぇじゃねぇかよ。言ってくれればいいのによぅ。
透   いやー、自分でも信じられないんですよ。俺に彼女が出来るなんて。
圭介  虐められてた頃には考えられないってか?
透   はい。
圭介  それこそが今のお前と昔のお前が違うって証拠じゃねぇか。自信持てよ。
透   そうですね。俺はもう透明人間じゃない。
圭介  そういうことだ。
透   俺、頑張ります!
圭介  おう、頑張れよ!なんたって明日は嬉し恥ずかし初デートなわけだし。
透   (!?)な、なな、なん…
圭介  山根から聞いた。
透   りーんーちゃーんー!
圭介  まぁ、落ち着けって。嬉しいことなんだからいいじゃねーか。
透   そうですけど。
圭介  で?透くんの初デートはどこに行くのかな?
透   は?
圭介  いや、明日のデートだよ。どこに行くか、もちろん決めてるよな?
透   …え?
圭介  …決めてないの?
透   (一生懸命うなずく)
圭介  なんでだよ!
透   だってそんなのわかんないですよぉ!今までお付き合いとかしたことないんだもん!
圭介  お前は中学生か。
透   どうしましょう。デートでどこ行ったらいいかなんて全然わからないし。
圭介  しょうがねーなー。俺がアドバイスしてやるよ。
透   本当ですか?
圭介  今からこの調子じゃ先が思いやられるな。今夜なんか興奮して寝れないんじゃねーか?
透   興奮というより、緊張?
圭介  アホか。それで寝坊して遅刻したらどうすんだよ。
透   だって…。
圭介  ったく(栄養ドリンクのビンを取り出して)コレ、寝る前に飲めよ。
透   これって圭介先輩がいつも飲んでる栄養ドリンク?こんなの飲んだら余計寝れないですよ。
圭介  大丈夫。それ、中身はウイスキーだから。
透   はぁ?
圭介  仕事中用に偽装してんだよ。頭良くね?
透   仕事中に酒飲まんでください!
圭介  え?ダメなの?
透   ダメです。当たり前でしょ?
圭介  まぁ、どっちでもいいや。
透   えぇ〜〜〜。
圭介  そんなことより、明日の計画。
透   え?
圭介  デートの計画だよ。昼飯でも食いながら考えようぜ。
透   ああ、もうお昼か。そうですね、そうしましょう。

   透と圭介は昼飯を食いに行く準備を始める。


面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。


ホーム