カルト

(かると)
初演日:2019/7 作者:不思議夏
カルト

僕がなんとなく思っていたことを形にしてみたそんなお話。
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登場人物
A 芝居ノ助(ミンミンゼミ) 団長 フリーター
B 舞台立男(オニヤンマ) 副団長 社会人
C 伊井本書造(アゲハ蝶) 脚本志望 社会人
D 元気出る男(カブトムシ) 役者志望 大学生
E 関民生(草薙虫捕太郎)  オカルトマニア 
1場
A    新宿。夜の新宿は嫌いだ。淀み腐った空気。通りすがる人はみんな同じ匂いをしている。夜になると街全体がアルコールに浸ったようだ。薄ら笑いで女の腰に手を回す若い男。街をベットと勘違いした無防備なおじさん。客引きかナンパかスカウトか、兎に角ギラギラした目の男たち。何とも言えない距離感を保つ帰りの歩みではない男女。自分からなのか不可抗力であったのか小さくなる女。死体に群がる虫のようにわらわらと何かを求め集まったり縋っている。この話はなんの意味も持たない。ただ一人の人間の連想ゲーム。伸びた枝、乃至根はどこに辿り着くのか。頭の中にある物はまだ世界に生まれてはいない。少しの揺らぎで書き換えられる何でもない気持ち。文字はソレに存在を与える。頭の中にあるソレに一番近い文字を選び、10%なのか、零れ出る程なのか、詰め込んでみる。それはニュアンスという曖昧な空気となって場に漂う。だから、たった一言で済む気持ちも叩いて伸ばして切ってつなぎ合わせて、伝えようと試みる。今この瞬間も「気楽に見てね」という言い訳じみた気持ちをしょうもないそれっぽさで包んでいる。このお話はなんの意味も持たない。誰かの頭から漏れ出た幾らにもならないシャボン玉。誰の手にも触れず弾けたなら世界に溶け込むこともない。しかし、幸運なことに今、私の目の前には世界が在る。
BCDE  刻もう、微かな兆しを
A    故に我らは存在する
全員   カルト!!!!!

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2場
    音楽が流れる
    「虫さんとことこレースの歌」
    
カブト   今日もステキな日和ですなぁアゲハ君!
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ヤンマ   ここは、沢山の虫さんたちが住む清瀬の森!今日も虫さんたちは平和に仲良く暮らしています。
カブト   やあ!ヤンヤンマ君!いったい誰に向かって話してるんだい?
ヤンマ   ああ!カブトムシ君!ここいらに有る空気感に話してるんだよ。
残り   空気感かぁ。

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    Aが焦りながら入ってくる

セミ   た、た、た、たいへんだぁ!!ニンゲン!ニンゲンがやってきたぞぉぉ!!!
残り   に、に、ニンゲン!?

    ニンゲンが虫網を構えて入ってくる。

ニンゲン  にーんにんにんにん!我こそは草薙家第27代目後継にして夏休みに祖父の家に遊びに来て虫取り網を構えるは草薙虫捕太郎なり!!
残り   虫捕太郎!?
ニンゲン  やあやあやあ!虫さんたちや!この虫捕太郎が捕まえちゃうぞーー!どこだどこだー!!
残り   うわぁーー!

    阿鼻叫喚の地獄絵図。カブトムシ、アゲハが捕まる。

アゲハ   こうして僕とカブトムシは透明な壁に四方を囲まれた小さな世界へと投げ出されたのであった。
カブト   その世界は息苦しく閉鎖され、変化もなく、決められた時間に決められた食事が出てきて、そして何より太陽も月も星も、空がなかった。
アゲハ   カブト虫君起きてるか?
カブト   起きてるよ、アゲハ君。
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アゲハ   僕、カマ・キリコちゃんの事好きだったんだよね。
カブト   マジかよ。うわー、マジか。マジか。
アゲハ   え、何そんな驚く?
カブト   え、ちょっと待ってお前らそんな接点あったっけ?

アゲハ   あー、そんなかったんだけど。この前の町内会の運動会で一緒になって。
カブト   俺行けなかった奴じゃん。
アゲハ   それで、たまたま二人三脚でペアになって仲良くなったんだけど、そんときにライン交換してちょくちょく連絡とってるって感じ。
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カブト   いや、さ、実は俺もキリコの事好きなんだよね。
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カブト       ってか俺幼馴染だし、なんなら連絡先はメールの頃から知ってっから。
アゲハ   なーに怒ってんだよ。
カブト   うるせぇ!キリコからしたら蝶々君なんてただの非常食としか思ってないし!俺同じ甲虫類だし!
アゲハ   非常食ってなんだよ!今はもうそういう時代じゃないんだよ!いつまでも昔の価値観引っ張ってる虫は嫌われるからな。
カブト   お前なんてキリコの事何にもわかっちゃいない癖にそういう事偉そうに言うな。
アゲハ   この前そういう話したとき、時代に乗れない虫は嫌いって言ってたし〜!
カブト   うるせぇ!俺は別なんだよ!幼馴染だから!
アゲハ   でたー!それも古いんだよ。幼馴染がアド取れる時代はとうに過ぎてます〜!

    互いにフルボルテージで言い合う。
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二人   キリコにあいてぇなぁ。
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アゲハ   さあ、死ぬんじゃない。
カブト   いいのかよ。そんなんで。
アゲハ   いい訳ないけど、もう無理だよ。
カブト   キリコに会いたいんだろ。
アゲハ   会いたいよ!会いたいに決まってるだろ!けど、だからなんだよ。だからどうできるんだよ!僕たちはちっぽけな虫なんだよ!こんな人間が作った世界に放り込まれれば何にもできない。か弱い虫なんだよ!!僕にそれを言って何か変わるか?会いたいなって思えばこの壁が、なくなって帰れるのか?え?おい、教えてくれよ。
カブト   会いたい、帰りたいじゃなくて会うんだよ!帰るんだよ!いいか、お前は、俺は一匹じゃあない。幸か不幸か俺がいてお前がいる。それにここはあの森のすぐそばにある別荘のようだ。この部屋からでれれば帰れるんだ俺たちは!しっかりしろ!帰ってから必ず決着をつけようぜ。
アゲハ   カブトムシ君...ごめん僕弱音吐いてた。やろう!そしてまたキリコちゃんに会うんだ!
カブト   そうと決まれば早速やろう!あのクソガキもいないみたいだしな。
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カブト   見たところこの部屋は俗に言う虫かご、という奴らしい。つまり。
アゲハ   とどのつまりカブトムシ君が考の考えではまず、アゲハ蝶の僕が全速力で風を起こしそれをエンジンにカブトムシ君が硬い外郭で体当たりをして、この虫かごを倒すという作戦であった。
カブト   アゲハは己の羽がちぎれんばかりに羽ばたき続けた。
アゲハ   カブトムシはその甲殻が割れんばかりに体当たりを続けた。
二人   一体、どれだけの時が経っただろう。
カブト   全然倒れなかったが、言い出した手前、辞めようと言いづらかった。
アゲハ   正直辞めたかったが、そういう空気じゃなかった。
B    しかし、そんな二人の思いが叶ったのかついに、遂に!!虫かごはその体勢を崩した!!
全員   ガッタン!
カブト   よし、よしよしよしよし!出られた!!出られたぞ!!!
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カブト   お前のサイクロンのお陰だ。
アゲハ   何言ってるんだ。君の体当たりがなきゃここまで来れなかったよ。
カブト   へへっ。じゃあとっとと窓から森へかえr
ニンゲン  ガチャ。何だ何か音がすると思ったら虫かごが倒れたのかぁ〜。
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ニンゲン  あ〜あ折角捕まえた虫さんたちが逃げてるじゃあないか。折角捕まえたのにぃ。
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ニンゲン  でも、僕から逃げる虫さんなんていらないや。殺しちゃお。
二人   !?
ニンゲン  え〜い!ドスン!え〜いドスン!
カブト   くそっこのまま避け続けるのも限界だ。
アゲハ   カブトムシ君!ここは僕が囮になる!
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アゲハ   正直、もう羽が限界なんだ。奴が僕に気を取られている間にあそこの窓から逃げてくれ!
カブト   お前、そんなことできる訳。
アゲハ   キリコに!思いを伝えるんだろう!僕の分まで頼んだよ!ひらひらひらひら
ニンゲン  うわ!こっちに飛んできた!気持ち悪!バシン。
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ニンゲン  あ?
カブト   お前が殺したその蝶々も一つの命だぞ。
ニンゲン  命って。ただの虫だろう。人間とは比べ物にならないくらい粗末なモノに過ぎない。
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ニンゲン  うるさいなぁ。あ、君はカブトムシだから大人しくしていればまたカゴに戻してあげよう。
カブト   いらぬ!この命に代えても貴様だけは許してはおけぬ。蝶々殿、約束破ること許してくだされ。うぉぉぉおおおおおおお!!!

3場

B    遡る事一ヶ月前。
A    カルト的な演目を打ちたい!
B    こう、いきなりのいきなりの度初っ端。場面転換したと思ったらいきなりこの公演のタイトルを回収していったのは我らが劇団の団長!芝居伊之助である!
A以外   か、カルト的〜!?
C    ここでカルトをウィキペディア!で、調べてみよう。
D    カルトとは狂信や熱狂的なという意味で使われている。
E    カルト、カルト、オカルト!団長。それなら幽霊大好き、都市伝説大好き、オカルトの申し子ことこの関民生にお任せください!
B    自称オカルトテラーの関民生!!
A    え〜オカルトとは神秘学、超自然的なモノを指す。ウィキより。
C    カルトとオカルトはニュアンスが違うなぁ。
E    これは一時撤退の兆し!
A    大丈夫伏線的に後できっと出番があるよ!
D    話は戻り。団長!!なぜ急にそんな事を言い出したんですか!?
C    俺たちはどちらかと言うと爽やかでキャッチー!な、感じが売りの爽快感マックス劇団。
全員   シーブリーズ!
C    ですよ!そんな急にゲテモノ臭のする方角にシフトチェンジしたら今まで大切に大切にしてきたお客さんがびっくら仰天しはりますよ!
A    ではその今まで大切に大切にしてきたお客様からはどのようなお言葉を頂いている?
B    五人の作る劇が大好きです。
A    甘えよう!この際その言葉にぶらさがろう!!俺たちは今まで応援してきたお客様のお言葉に甘え五人でやる事以外バッチバチに方向転換をして、新規のお客様を増やすのだ!
C    でも、またなんでカルト的な方向へ?
A    遊べる本屋ヴィレッジヴァンガードに通いそうなサブカル系な人類から根強い人気を獲得し、1演目で何度も何度も、何年も何年も劇団四季のようにロングランを全力で駆け抜けそして!
残り   そして?
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B    なるほど。
C    思ったより戦略的だ。
E    ゴールデンボンバーが地上波で女々しくてを歌わされている原理か!
A    サブカル界隈で、それこそカルト的、な人気を博せば、一旦下火になっても、ひょんな事をキッカケに数年後に再熱するなんて事もまにまに、まにまに。まにまにまにまにまにまに(FO)
B    こうして、団長の言葉に乗せられた俺たちは団長曰く、超絶カルト的人気を得るで在ろう脚本を渡された。
A以外   虫さんトコトコレース〜真夏の大脱走〜!?
E    そんな事があった一ヶ月前。
C    トコトコレースの稽古は順調に進んだかのように思われた。
カブト   いらぬ!この命に代えても貴様だけは許してはおけぬ。蝶々殿、約束破ること許してくだされ。うぉぉぉおおおおおおお!!!
A    はい、オッケー。じゃあ時間なんで今日の稽古閉めます。脚本訂正できて今日までだからなんかあったらラインして。じゃ、俺すぐ出なきゃ行けないから後よろしく!
残り   お疲れ様でした〜。
C    なぁ、すげぇ今更なんだけどさ、マジでみんなこれでいいの?
B    これって?
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D    いや、マジかってお前結構時間あったじゃん。
C    それは本当にそう。自分でもそう思う。
B    まあ、なかなかこう言うのって言い出しづらいもんな。
C    いや、一回言い出したんだ。
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C    脚本貰って次の日くらいだったかな。一晩中睨めっこしたんだがどうも良さがわからなくて。だからみんなの前で言う前にとりあえず団長に話したんだよ。そしたら。
A    代案なき提案は何の価値も持たない。
C    って突っぱねられちゃったんだよ。
E    なるほど。
C    でも、流石におかしいと思ったから今日まで誰か言い出さないか待ってたんだよね。でも、俺感性ズレてんのかなぁって。
B    因みに、どんな所が気になるというか、納得いかないの?
C    オールマイティに全部。
残り   お、オールマイティに全部?!
C    まずさ、虫さんトコトコレース真夏の大脱走ってタイトルからやばくない?え、やばいと思わない?
B    懐かしい気持ちになった。
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E    アルマゲドンのそれに近いと。
C    まてまてまて。これまでの俺たちの公演タイトルこんなんじゃなかっただろ。
E    過ぎ去りし夏。
B    実り島人。
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C    虫さんとことこレース。
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D    比べると何だかとっても子供っぽい。
E    教育テレビな響き。
B    これを知り合いに宣伝してたかと思うと胸がゾワゾワする。
C    おお!よかった!やっと一人じゃあない!!じゃあどうだ話の内容は?
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B    素敵やん。
E    映画ドラえもんのアレを遥かに凌駕する。
C    な、な、な、なんでぇやねぇ〜んねぇ〜んねぇ〜ん。
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C    たしかに俺たちの今までの爽やか路線という意味では間違ってはない。
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C    しかし、カルト的なモノをやりたいんだよな?
D    団長がそう言ってるし。
C    に、してはだよ?露骨だと思うんだよ。
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C    確かにタイトルからインパクトを強くしようとしているのはわかる。大の大人がこんな格好して劇を作るおかしさもわかる。劇中のテンションを高くして不可解さを無理やりねじ込んでいるのもわかる。けど全部「わかる」んだよ。わかる?見え見えって意味。カルト的にしたいぜ!ってのがビンビン伝わってくるんだよ!
D    言われてみればそんな気がしなくもない。
B    とりあえずそれを団長には伝えたわけなんだな。
C    そゆこと。けど、だからといって俺もどうしていいかわかんなかったんだよね。
D    でもお前脚本家志望じゃん。書くのは得意だろ?
C    脚本家志望だから気になったし、脚本家志望だから書けなかったんだよ。
B    そか。でもお前がこうして説明してくれたお陰で俺も何だか今のままで公演するの恥ずかしくなっちゃったな。二人はどう?
D    そうだな〜。俺も今のままじゃやだなぁって気持ち。
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B    言ってくれてありがとな。さて、でもどうしたもんかな。幾ら徒党を組んでも代案がなきゃ団長はまず聞く耳を持ってくれないし。

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