さようなら、また明日

(さようなら、またあした)
初演日:2017/9 作者:黒い白クマ
さようなら、また明日:上演時間目安60分

《CAST》

拓(たく) 室内のシーンも靴は履いたまま。
妖精    衣装を一色で統一する。今回はピンクの前提で記述。
壁抜け
バラバラ
和(かず) 室内のシーンでは靴は履かない。

声のみ ナレーション
    回想での道行く人たち

※演出一例として、過去上演時には壁抜けが通り抜けるところはゴムでスリッドを作成しました。

《本編》

〜シーン1〜

上手端にドアが置いてあり、それを照らすようにサスペンション。真ん中に既に拓の部屋のセットもある状態。
以後、部屋のセットに入ったら無声で動きのみ演技を行う。

妖精上手から現れる。

妖精  ただいまぁ!(ドアを開けようとするが開かない)……ってあれ?

妖精ドアノブをガチャガチャする。効果音を入れ、妖精は音に合わせて動く。

妖精  鍵閉まってるの?もー……。

持っている杖を振る。効果音。開錠音。妖精、ドアを開けてはいる。
妖精、そのまま拓の部屋のセットでくつろぐ。バラバラ登場。つまずいて手が落ちる。

バラ  あっ!手が!また外れてしまいました……。

バラバラもう一方の手ではめなおす。

バラ  ん、これでよし!

バラバラ中へ入ろうとし、

バラ  鍵をかけるのを忘れていますね、不用心な。

バラバラ中へ、施錠音。そのまま拓の部屋のセットへ。壁抜け登場。

壁抜け ただいまーなのですー。

ドアをすり抜けて中へ。そのまま拓の部屋のセットへ。拓登場。

拓   あああー!やらかしたぁ!さすがに道路の上で寝ることはないだろ、俺。
    んだよ、記憶飛ぶほど飲んだか?……あ、つーか鍵!(ポケットを探る、見つけて安堵)

開錠音。合わせて開錠のモーション。

拓   ったくリュックはどっか行っちまうし……最悪だよ!

拓ドアを開けようとする動き、フェードで照明off。ドア片付ける。

〜シーン2〜

拓の部屋。
下手のほうに半分舞台袖に隠れたテーブルクロスのかかったテーブル、その前に段ボール二つ。
真ん中に低い机。その後ろに棚。ほかにも段ボール。バラバラ、壁抜け、妖精がトランプをしている。

壁抜け あっがりー、なのです!
妖精・バラ
    ええー!?
妖精  もう一戦やるよ!
壁抜け・バラ
    えー?
バラ  帰ってきちゃいますよ?
妖精  帰って来ないよ、昨日だって一昨日だって帰ってこなかったし。
バラ  まぁ、帰ってくるほうがレアですけどね。
妖精  また友達んちで泊ってくるって。
壁抜け うん、きっと帰ってこないのです。
バラ  そうですね、帰ってきませんね。
妖精  うんうん、
三人  帰ってこない!
妖精  よーし、もう一戦……


拓上手から入り、セリフを言いながら舞台中央手前に座る。

拓   ただいまぁ。
他三人 お帰(ここまで普通に言う)、りぃぃ!?

三人ギャーギャー騒ぎながらトランプを片付け、棚にしまう。三人、片付け終わって座る。

壁抜け 危なかったのです。
妖精  まさか帰ってくるとはね。
バラ  ばれなくて良かったですね。
妖精  ばれるわけないよ。
壁抜け 大丈夫なのです。
妖精  うんうん、
三人  ばれてない!

三人の会話中に拓は異変に気が付く。

拓   いやばれてるよ!

三人  (拓を一斉に振り返って)え!?
妖精  み、みえてる!
壁抜け わぁ、すごいのです!
拓   あっ、すんません部屋間違えちゃったみたいで!じゃ、失礼しまー
妖精  いやいやいやいや(拓の肩を掴む)

三人、アイコンタクト。

妖精  いっくよー(拓を壁抜けに拓をパス)
拓   うわぁ!?
壁抜け ヘイパー!(バラバラにパス)
バラ  (拓を机の後ろに座らせながら)シュート。ゴール!

三人「イエーイ」と言いながらハイタッチ。

拓   まさか同じアパートにここまでヤバい奴らがいたとはな。
    間違えるにしても、お前らのところには来たくなかったよ。
妖精  なに言ってるの、ここは君の部屋だよ!
拓   はぁ!?
妖精  ほら見て、この段ボールには拓君秘蔵の、
拓   あああああオッケー分かった俺の部屋俺の部屋!……待ってなんで知ってんの?
バラ  大体見えていたのならそう言ってください。
壁抜け 今更水臭いのです。
拓   いや、え?え?ここが俺の部屋だっていうなら、あんたたちは一体どこから湧いてきたんだよ!?
三人  ええー?
バラ  そんなゴキブリみたいに。やめてください。
拓   害があるのは確かだろ。
壁抜け あ、強いて言えば私は壁から湧くのです。
拓   壁!?
壁抜け ないしは床。
拓   気持ち悪いな!
妖精  あれ、ていうか、私達前からいたんだけど。
壁抜け 拓君が越してくる前からいたのです。
バラ  なんか、まるで今日いきなり私たちが見えるようになったみたいなリアクションですね。
拓   なに中二病みたいなことぬかしてんの、このコスプレ集団は!
妖精  コスプレ集団とは失礼な!
バラ  そうですよ、一括りにしないでください。(壁抜けの隣へ)
壁抜け そうなのです、ここまで痛々しい格好はしていないのです。

バラバラと壁抜けは妖精を指さす。

妖精  どういうこと!?
拓   この羽、わざわざ買ったのか?
妖精  はぁ!?
拓   わかった、ドンキだ!
妖精  違います!本物!生えてるの!私はれっきとした妖精なんだから!
拓   うるせぇピンクだな。
妖精  ピンクじゃなくて、よ・う・せ・いー!

拓、妖精を上から下までじろじろ見る。壁抜け・バラも一緒に動く。

拓   妖精には(二人を振り返って)見えねぇよな。
壁抜け・バラ
    ねー!
拓   なんか妖精らしいこと、出来るのか?
妖精  できるよ!
拓   ふぅん?(妖精拓を押しのける)うわっ!

BGMとナレーションが流れる。妖精踊り始める。
バラバラは段ボールからサイリウムを取り出し振る。壁抜けは段ボールからライブうちわを取り出し振る。

ナレ  説明しよう!妖精は魔法を使えるが今のところいたずら以外に役に立ったことはない!
拓   え、何これ、何が始まって……というかお前誰だよ!
ナレ  主に拓の食事の味を変えたり、段ボールにいらないものを仕込んだり、
    母親に拓のSNSのアカウントがばれるように仕向けたりすることができる!
拓   おい今なんつった!
ナレ  ちなみに背中の羽は生えてはいるが特に役に立たないので、もはや飾りである!
拓   おい止まれお前らぁ!

音楽止まる。妖精は踊り続ける。拓壁抜けからうちわを強奪。

拓   とまれって馬鹿!(妖精をうちわで叩く)
妖精  いった!
拓   お前何母ちゃんにSNSのアカウントバラしてんだよ!
妖精  えー。
拓   変だなぁとは思ったんだよ、この間電話した時「バイクはちゃんと手入れしなね」
    って言われたし……買ったこと一言も言ってねぇのに……
バラ  めちゃくちゃ焦ってましたよねぇ、拓さん。
拓   なんで知っての?
バラ  お電話しているのは見てましたし。
拓   は?
妖精  バラしたって言っても目に留まるようにしただけなんだけど。
拓   いやそれがまずいんだよ!
妖精  いいでしょ、えなに、ばれたら困るようなこと書いてたの!?
拓   (もう一度叩く)
妖精  痛いってば!
拓   ていうか、今の音楽どこから流れてたんだよ。
ナレ  魔法で音楽も流せるのでよく拓の部屋でカラオケ大会を開催する!
拓   俺が気が付いていないのをいいことに何してんだお前ら。
    じゃあ今の声は?今のナレーションみたいなやつはどこから、
バラ  正解は、CMの
三人  後で! (ポーズを決める)
拓   いちいちめんどくせぇな!

拓は自分側にいる人をうちわではたく。三人ドミノ倒し(各自「わー!」「キャー!」)。

バラ  ちょっと、頭取れたらどうするんですか!
拓   え、取れるってどういうことだよ!?
バラ  ああ、私はお化けみたいなもので、バラバラと言いますけど。
    手と頭が取れて不便なんです……。あ、いっそ取れるの見ますか?
拓   遠慮します!
壁抜け ちなみに私は壁抜け、ありとあらゆるものを通り抜けられるのですよ。
拓   えええ、壁抜け?妖精?でバラバラ?

呼ばれたら各自敬礼。

拓   なんだこれ、通報すべきか?

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