壁あて

(かべあて)
初演日:0/0 作者:不思議夏
あー。うん。そっか。えーっとね。岡本くんの事は友達としては良いんだけど。ちょっと彼氏ではないかなぁ。

出来るだけ、出来るだけ当たり障り無く、在り来りに、失恋の事実を伝える。「この後、3棟2階東側階段に来てください。」そういきなりラインして来た目の前のクラスメイト。毎朝挨拶をしてくるが、それ以外これと言って世間話もしないような目の前のクラスメイト。だから勿論ラインなど交換した覚えもなく、きっとクラスのグループラインから漁って連絡して来たであろう目の前のクラスメイト。遂に来た。いざ来てみると思ったよりも冷静な自分に驚いた。ずっと、ずっとこの数ヶ月間この瞬間を待ち望んでいた。

あー。うん。そっか。えーっとね。岡本くんの事は友達としては良いんだけど。ちょっと彼氏ではないかなぁ。

この目の前でショックを隠そうと薄ら笑いを浮かべている岡本という名のクラスメート。彼の視線に気がついたのは丁度、夏休みが始まる少し前。何でもない休み時間、フッと彼と目があった。彼は恥ずかしそうに目線を外した。なーに?もしかして私の事好きなのー?一瞬でもそんな爽やかな青春を感じた私を殴りたい。入学してから席が近くなることもなく、唯一まともに話したと言えば遠足の帰りのバスでたまたま隣だった程度。クラスメイトと言われて名前が上がる程でもなかった彼の視線に気が付き、ちょっと存在を意識した。意識してから気がついた。ガン見、想像を絶するほどの直視。彼の方を見ると慌てて目線を外すものの、窓の反射を利用して確認すると、彼は瞳孔をかっぴらき私の後頭部の付近を直視していた。朝のホームルームから、授業中、勿論休み時間まで。友達に聞くと、クラス公認レベルだった。終業式が終わり、夏休みへ入る私を信じられないほど寂しそうに見つめる彼の顔は信じられないほど気色が悪かった。


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