ゴーヤの彼

(ごーやのかれ)
初演日:0/0 作者:いりみつ
 ボイスドラマ ゴーヤの彼
 
  第一話 プロローグ 土曜出勤の憂鬱
 
 (お昼のチャイムの音)
 
 サチエ   マナミ、あんたさあ、まだやっていくの?わたしもう帰るよ。お昼だし。
 
マナミ   うん。まだ企画書作れてないんだ。サチエごめんね。今度一緒にお昼食べ
に行こう。

サチエ   企画書って、昨日却下されたやつ?そんなの気にすることないよ。始めか
らわかってたじゃん。伊藤さんの企画が通るってことぐらい。

マナミ   私の企画書の方が絶対細かく検証されてたし。契約店だって・・・

サチエ   あのね、課長は伊藤さんがお気に入りなの。どんな内容にしたって伊藤さ
んの企画を選ぶなんてはじめからみんなわかってたと思うよ、いい加減、目
を覚ましなよ、マナミ。

マナミ   何とかならないのかな?

サチエ   課長はだめだと思うよ。部長ならマナミのこと気に入ってるから、部長に
取り入ってみなよ?

マナミ   部長に取り入るって?

サチエ   そのとおりのことよ。部長と食事でもして誘惑してきたら?

マナミ   何馬鹿なこと言ってるのよ!

サチエ   冗談よ。マナミさあ、土曜日のこんな時間に会社いるけど、彼氏とデート
とかしないの?可愛いのにもったいない。そんな企画書適当に書いてとっと
と帰りなさいよ。じゃあね。

マナミ   もう、言いたい放題言うんだから。さて。気合い入れて終わらせよう。

(キーボードをたたく音)

マナミ   で、この表を添付して、と。やっと終わった。ああ、おなか空いたあ。さ
て、帰ろうっと。

(街中、車が走る音、。雑踏)

マナミ   お昼ったって、どこもやってるわけないよね。土曜の三時なんて。
     牛丼とか、ラーメンとかはなんかいやだなあ。あっ、あの店やってる?

(マナミの走る音)

マナミ   琉球料理みやらび、うーん。まいっか。なんか食べさせてもらおう。

(ドビラを開ける音)

店の男   はいさい、めんそーれ。

マナミ   えっ、何?

店の男   こんにちは、いらっしゃいませ、っていたんだけど。

マナミ   【うわー。やばい店はいちゃったかな】

店の男   食事ですか?お酒ですか?

マナミ   食事。

※第二話につづく





 
 第二話 みやらびって乙女のことだよ
  
店の男 食事ですか?こんな時間に?
  
マナミ 仕事でお昼を食べ損ねたのよ。メニューとかないの?
  
店の男 ありますけど、ほとんど作れませんよ。材料がありませんから。
  
マナミ 何が食べられるの?

店の男 そうですね、これなんか使って何か作って差し上げましょう。

マナミ それってゴーヤよね?

店の男 ええ。沖縄らしいでしょ?

マナミ 他のないの?沖縄のお料理って言ったらさ、豚肉とか?

店の男 それはお酒のおつまみなんです。お酒も付けますか?

マナミ いい。まだ作ってないでしょ?キャンセルするわ。

店の男 そんなにゴーヤはお嫌ですか?

マナミ 苦くて食べられないの。失礼するわ。

店の男 わかりました。お代は結構です。ごちそうさせてください。

マナミ はあ?

店の男 ただでごちそうするって言ったんです。ゴーヤは美味しい。証明して見せましょ
う。

マナミ そこまで言うなら。まあ、ほかのところで何か食べられる時間じゃないし。

店の男 ありがとうございます。今から作りますから、こちらをつまみながらお待ちくだ
さい。

マナミ お豆腐?

店の男 ゆし豆腐です。それでは待っててくださいね。

(料理を作る音)

マナミ 【これ、おいしい】

おばあ 怜史。誰かいるのかい?怜史。

マナミ レイシ?

おばあ あれ、こげなみやらび、どうしたんだい?

店の男 どうだっていいだろ?はい、できたよ。

おばあ ゴーヤチャンプルーか?怜史のゴーヤチャンプルーはまーさんどー。

店の男 ナビィおばあ、奥で休んでてよ、ここはいいから。

おばあ そうかい。それじゃあ、ごゆっくり。

マナミ 大丈夫なの?せっかく来てくれたのに。いいおばあちゃんじゃない。

店の男 いいから、食べなよ。

マナミ その前に教えて。みやらびってどういう意味なの?

店の男 わかんねえのかよ?

マナミ わるかったわね。いい。わかるまでこれ、口付けないから。

店の男 まじかよ。ったく、みやらびってのは、乙女って意味だよ。

マナミ おっ、乙女え?いやだ。

店の男 何赤くなってんだよ。別にかわいいとか言ってるわけじゃないから。

マナミ ちょっと、誰が赤くなっているというのよ!

店の男 とっとと食え!

マナミ 言われなくてもいただくわよ。

(マナミが食事をする音)

店の男 【ったく、変な女。】

※第三話につづく



















 

第三話 チュラカーギーってうれしいですか?

(会社のオフィス)

サチエ マナミ、今日のお昼ご飯どうする?

マナミ なにも用意してないや。

サチエ じゃあ、一緒しようよ。

マナミ うん!でも、食べに行くほど時間ないんじゃない?

サチエ なんか、御弁当でも買いに出るか?

マナミ いいね、じゃあ、行ってこよう。

(転換。お弁当を持って帰ってくる音)

サチエ マナミ、やはり穴場見つけるの上手だよね。

マナミ そうかな?とりあえず食べよう。

(食事をする音)

サチエ マナミ、先週の土曜日って何時までやっていったの?

マナミ だいたい三時くらいまで。

サチエ 本当に?お昼とか食べなかったの?

マナミ 食べたよ。この辺にさ、沖縄料理のお店があってさ。

石井  おーい、ちょっといいか?

マナミ 部長。

石井  お昼休みが終わったら、小会議室へ来てくれ。

マナミ わかりました。

サチエ やっぱりわざわざ部長が話しかけに来るなんて、マナミ気に入られているんだよ。

マナミ 企画書のことかな?

サチエ そりゃそうでしょ。逆にそれ以外の用だったら、やばくない?

マナミ もう、サチエ、からかわないでよ。

サチエ ごめん、ごめん。とりあえず、食べちゃおう。

マナミ うん。

(転換。小会議室)

石井  入って。

マナミ 失礼します。

石井  早速で悪いんだけど、これ見たよ。

マナミ 私が書いた企画書ですね。

石井  これ、いつ書いたの?

マナミ 先週の土曜日です。会社で書きました。資料は家に持って帰ってなんかいません。

石井  そうか、別に資料の持ち帰りを疑ってなんかいないさ。この企画書、よくできて
いると思うよ。でも、金曜日に却下されて土曜日に書いたんだろ?土曜日だって一
日がかりだったんじゃないか?

マナミ 一日というか、午後三時くらいには終わりました。

石井  午後の三時。そりゃ頑張ったね。お昼とかどうしたの?

マナミ 終わってから食べました。近くの沖縄料理の店がやってて。

石井  みやらび、かい?

マナミ はい。石井部長、知ってるんですか?

石井  ああ。なかなか、マニアックなお店知ってるんだね。ウチナーグチとか興味ある
の?

マナミ ウチーナーグチ?

石井  怜史くんのところだろう?そうか、怜史くん、みやらびにチュラカーギーが来た、
とか言ってなかったかい?

マナミ チュラカーギーってなんですか?

石井  ははは。そう。別に気にしないでいいよ。企画書はもう一回会議にかけるよ。
   ヤスにももう一度考えさせる。承知しておいてくれ。君はよく頑張ったよ。じゃあ
ね。失礼。

(石井部長が退室する音)

マナミ 【石井部長、いつになくフレンドリーだったな。サチエの言ってること本当なの
かな?】

※第四話に続く








 第四話 いちゃれば、いちゃれ。ちゃるとちゃうから。

(沖縄料理みやらび、お客の話し声)

サチエ いいお店じゃない?マナミ。あんた、ほんとに穴場見つけるの上手だね。

マナミ 別にそんなことないわよ。サチエが紹介しろって言うから今日連れてきたんじゃ
ない?しかも仕事中にメールで。

サチエ ごめん、だって気になるじゃん。部長に小会議室呼ばれて二人っきりとか。

マナミ 何もないから。

サチエ ねえ、どんなこと聞かれたの?

マナミ この企画書いつ書いたんだ、とか。土曜日のお昼はどうしたんだ、とか。企画書
はよくできているからもう一度課長に渡して再審査するように命じた、とか、そん
なことだけよ。そういえば、このお店のこと、部長知ってたよ。

サチエ プライベートなことはこのお店のことだけか。石井部長、まじめかよ。

マナミ 別にプライベートなことで話したわけじゃないから。

怜史  おっ、石井さんのところの会社の方なんですか?はい、これ。

(料理を差し出す音)

サチエ うわ、真っ黒。

マナミ 私たち、頼んでないけど。

怜史  奥のなびぃおばあからです。


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